こんにちは、「リホとミナの『安心』NISA設計室」です。
前回の記事で、新NISAが「利益が非課税になる」強力な制度だと解説しました。
2024年からの新NISAを理解する上で、次に重要になるのが「2つの投資枠(投資の部屋)」の存在です。
新NISAでは、旧NISAの「つみたてNISA」と「一般NISA」が統合され、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠が設定されました。
「どっちを使えばいいの?」
「何が違うの?」
と混乱するかもしれませんが、この2つの枠は「併用(同時に使うこと)」が可能です。
この記事では、それぞれの枠の特徴と違いを比較し、特にNISA初心者の方がどちらを優先すべきかを解説します。
【1.「つみたて投資枠」とは?】
「つみたて投資枠」は、旧NISAの「つみたてNISA」の役割を引き継いだ枠です。
その名の通り、「長期・積立・分散」投資をサポートするために設計されています。
- 特徴1:投資方法が「積立」のみ
- 投資方法は「積立(毎月〇円など、定時定額)」に限定されています。まとまったお金を一度に投資する「一括投資(スポット購入)」はできません。
- 特徴2:対象商品が厳選されている
- 購入できる金融商品は、金融庁が定めた「長期・積立・分散に適している」という厳しい基準をクリアした投資信託・ETFのみです。
- 手数料が安く(低コスト)、頻繁に分配金が出ないなど、長期の資産形成に向いた商品だけがラインナップされています。
- 年間投資枠:
- 年間120万円まで投資できます。
- こんな人(初心者)に向いています:
- 「投資の知識に自信がない」
- 「どの商品を選べばいいか分からない」
- 「毎月コツコツと自動で積み立てたい」
【2.「成長投資枠」とは?】
「成長投資枠」は、旧NISAの「一般NISA」の役割を引き継いだ枠です。
「つみたて投資枠」よりも自由度が高く、幅広い金融商品に投資できるのが特徴です。
- 特徴1:投資方法が「積立」も「一括」もOK
- 「積立」はもちろん、「ボーナスが出たからまとめて50万円投資する」といった「一括投資(スポット購入)」も可能です。
- 特徴2:対象商品が幅広い
- 「つみたて投資枠」の対象商品(投資信託)に加えて、**日本株(個別株)や米国株(個別株)、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)**など、幅広い商品に投資できます。
- (※ただし、高レバレッジ型の商品など、一部除外されているものもあります)
- 年間投資枠:
- 年間240万円まで投資できます。
- こんな人(中~上級者)に向いています:
- 「ある程度まとまった資金がある」
- 「自分で投資先(個別株など)を選びたい」
- 「投資の経験がすでにある」
【比較まとめ:「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い】
2つの枠の違いを表にまとめます。
| 比較項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 投資方法 | 積立のみ | 積立・一括(スポット) |
| 対象商品 | 金融庁の基準を満たした投資信託・ETF(厳選) | 投資信託、個別株、ETF、REITなど(幅広い) |
| 併用 | 可能(2枠合計で年間360万円まで) | |
| 生涯投資枠 | 2枠合計で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
【初心者はどちらを使うべきか?】
新NISAはこの2つの枠を併用できますが、「投資が初めて」というNISA初心者の方は、まず「つみたて投資枠」から始めるのが王道です。
理由は以下の通りです。
- 商品選びで迷わない(失敗しにくい)
- 「つみたて投資枠」の商品は、国(金融庁)が「長期投資に向いている」とお墨付きを与えた商品だけです。
- 手数料の高い「穴あきバケツ(アクティブファンド)」のような商品が最初から除外されているため、初心者の方が「損しやすい商品」を選んでしまうリスクを避けられます。
- 「時間」を味方につけやすい
- 投資は「長期」で行うほど、元本割れのリスクが低減する(リターンが安定する)というデータがあります。
- 「積立」専用の枠である「つみたて投資枠」は、まさにその「長期・積立・分散」を実践するための最適な道具です。
【まとめ:自分のスタイルに合わせて使いこなそう】
今回は、新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違いについて解説しました。
- つみたて投資枠: コツコツ積立派、初心者向け(商品が厳選されている)
- 成長投資枠: まとめて投資派、中・上級者向け(商品が幅広い)
まずは「つみたて投資枠」で投資の基礎となる「長期・積立・分散」をスタートし、投資に慣れてきたり、まとまった資金ができたりしたら、「成長投資枠」で個別株などにチャレンジしてみる、という使い方が最も合理的です。
2つの枠の違いを正しく理解し、ご自身の投資スタイルに合わせて賢く使いこなしていきましょう。
