【はじめに:NISAは「貯金(預金)」ではありません】
こんにちは、「リホとミナの『安心』NISA設計室」です。
新NISAは「非課税」という強力なメリットがあり、将来の資産形成の「道具」として非常に優れています。
しかし、NISAを始める前に絶対に理解しておかなければならない大前提があります。 それは、NISAは「投資」であり、銀行の「貯金(預金)」とは根本的に異なるということです。
銀行の貯金(普通預金や定期預金)は、「元本保証」がされています(※決済用預金は全額保護、それ以外は1,000万円まで)。
一方、NISA(投資)には「元本保証」がありません。市場の状況によっては、あなたが投資したお金(元本)よりも、受け取る金額が少なくなってしまう可能性があります。 これを「元本割れ」と呼びます。
この記事では、この「元本割れ」のリスクについて、その仕組みと、リスクをできるだけ小さくするための「3つの対策」を解説します。
【1.「元本割れ」とは何か?】
「元本割れ(がんぽんわれ)」とは、文字通り、「投資した元本(もとのお金)を、資産の価値が下回ってしまうこと」を指します。
例えば、あなたがNISA口座で100万円分の投資信託を買ったとします。 その後、世界的な経済危機(〇〇ショックなど)が起こり、その投資信託の価値が80万円まで下がってしまった場合。 この時点で、あなたは20万円の「元本割れ」をしていることになります。
NISAは「利益(プラスの部分)」にかかる税金は非課税にしてくれますが、「損失(マイナスの部分)」を補填してくれる制度ではないのです。
【2. なぜ「元本割れ」が起きるのか?】
元本割れが起きる理由は、NISAで投資する金融商品(投資信託や株式)の「価格(基準価額)」が、毎日変動しているからです。
投資信託は、世界中の会社の「株式」や「債券」などを集めたパッケージ商品です。 その中身である「株式」の価格は、その会社の業績や、世界経済の景気、為替(円高・円安)など、様々な要因によって上がったり下がったりします。
景気が良ければ価格は上がりますが、経済危機やパンデミック、戦争などが起これば、価格は大きく下がります。 この「価格の変動(振れ幅)」のことを、投資用語で「リスク」と呼びます。
【3. リスクを「減らす」ための3つの対策】
「元本割れのリスクがあるなら、やっぱりNISAは怖い…」 そう思うかもしれません。
確かに、この「リスク」をゼロにすることは不可能です。 しかし、投資の世界には、この「リスク(価格の変動)」をできるだけ小さく抑えるための「3つの基本的な対策」が確立されています。
NISA(特に「つみたて投資枠」)は、まさにこの3つの対策を実行するために設計された制度です。
対策1:長期(ちょうき)投資
- 投資は、保有する「期間」が長ければ長いほど、価格の変動が平均化され、元本割れのリスクが低減する(リターンが安定する)という過去のデータがあります。
- 1年や2年といった「短期」で見ると元本割れしていても、10年、15年と「長期」で持ち続けることで、世界経済の成長と共に資産価値が回復・成長していくことが期待できます。
対策2:積立(つみたて)投資
- 一度にまとまったお金を投資(一括投資)するのではなく、「毎月1万円」など、定時定額で買い続ける方法です。
- これを「ドルコスト平均法」とも呼びます。
- 価格が高い時には少なく買い、価格が安い時には多く買うことを自動的に行うため、平均購入単価を平準化させる効果が期待できます。
対策3:分散(ぶんさん)投資
- 一つの商品(例:A社の株だけ)に集中投資するのではなく、複数の資産(例:全世界の株式)に「分散」して投資することです。
- NISAの「投資信託」は、1本買うだけで世界中の何千社もの株に分散投資できる「パッケージ商品」です。
- 一つの国や会社が不調でも、他の国や会社が好調であれば、全体として大きな下落を防ぐ効果が期待できます。
【まとめ:リスクを「正しく」恐れ、対策を実行しよう】
今回は、NISAの最大のデメリットである「元本割れ」について解説しました。
- NISAは「投資」であり、「貯金」ではないため、元本保証がない。
- 元本割れのリスクを「ゼロ」にはできない。
- しかし、「長期」「積立」「分散」という3つの対策を実行することで、そのリスクを「減らす」ことは可能である。
NISAを始めるということは、この「元本割れ」のリスクを受け入れるということです。 リスクを正しく理解し、3つの対策(特に「つみたて投資枠」の活用)をしっかりと実行することが、「安心」な資産形成の第一歩となります。

