【はじめに:2大インデックスファンドの悩み】
こんにちは、「リホとミナの『安心』NISA設計室」です。
NISAで投資を始める際、手数料の安い「インデックスファンド」が王道である、と前回の記事で解説しました。
では、具体的にどのインデックスファンドを選べばいいのでしょうか? 現在、NISAのインデックスファンドの中で、特に人気を集めているのが以下の2つです。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)
「アメリカ(S&P500)に集中投資すべきか?」 「全世界(オルカン)に分散投資すべきか?」
これは、投資初心者が最初にぶつかる最大の悩みであり、投資家の間でも意見が分かれるテーマです。 この記事では、この2つのファンドの特徴を中立的に比較し、あなたがどちらを選ぶべきかの「判断基準」を解説します。
【1.「S&P500」とは?】
「S&P500」とは、アメリカの代表的な優良企業約500社の株価を基に算出される「指数(インデックス)」です。 (例:Apple, Microsoft, Amazon, Googleなど、世界を代表する企業が含まれます)
- ファンドの特徴:
- 「S&P500」に連動するインデックスファンドは、実質的に「アメリカ経済全体」に集中投資する商品と言えます。
- 選ばれる理由(メリット):
- 過去の実績(リターン)が圧倒的: これまで世界経済を牽引してきたのはアメリカであり、過去10年、20年で見ても、全世界株式を上回る高いリターンを上げてきました。
- 将来への期待: これからも、GAFAMに代表されるようなイノベーション(技術革新)はアメリカから生まれると信じ、今後もアメリカ経済が世界最強であり続けると考える人が選びます。
- 懸念点(デメリット):
- 投資先が「アメリカ」という一国に集中しています。もし将来、アメリカ経済が長期的に低迷するような事態が起きた場合、その影響を直接受けてしまいます。
【2.「全世界株式(オール・カントリー)」とは?】
「全世界株式(オール・カントリー)」とは、日本を含む「先進国」と「新興国」など、世界中の国々(約50カ国、数千社)の株価を基に算出される「指数(インデックス)」です。
- ファンドの特徴:
- このファンド1本で、「世界経済全体」に丸ごと分散投資することができます。
- 選ばれる理由(メリット):
- 究極の「分散」による安心感: 投資先が世界中に分散されているため、カントリーリスク(特定の国が不調になるリスク)を最大限に低減できます。もしアメリカが不調になっても、他の国(ヨーロッパや新興国など)が好調であれば、全体としてカバーできます。
- 「考える」必要がない: 「どの国が伸びるか?」を予測する必要がありません。世界経済が成長し続ける限り、その平均点を取ることができるため、「迷ったらこれ1本でOK」というシンプルさが支持されています。
- 懸念点(デメリット):
- 中身の約6割はアメリカ: 「全世界」といっても、現在の時価総額(経済規模)を反映しているため、中身の約6割はS&P500と同じアメリカ企業です。
- リターンの平均化: アメリカ以外の、相対的に成長が遅い国々も含まれるため、過去のリターンはS&P500(アメリカ集中)に劣る傾向がありました。
【どちらを選ぶべきかの「判断基準」】
「S&P500」と「全世界株式(オルカン)」、どちらが優れているか、という問いに「唯一の正解」はありません。 どちらも、NISAの「長期・積立・分散」投資の目的に合致した、非常に優れた低コストのインデックスファンドです。
どちらを選ぶかは、あなたの「投資哲学(考え方)」によります。
- 「S&P500」が向いている人:
「これからも世界経済をリードするのはアメリカだ」「分散も大事だが、より高いリターンを狙いたい」- と、アメリカの未来を強く信じる人。
- 「全世界株式(オルカン)」が向いている人:
「どの国が勝つかなんて予測できない」「とにかく悩まず、丸ごと全部に分散投資したい」- と、究極の「分散(安心感)」を優先する人。
【まとめ:どちらを選んでも「正解」】
今回は、NISAで人気の2大インデックスファンド、「S&P500」と「全世界株式(オルカン)」を比較しました。
- S&P500: アメリカ集中投資。ハイリスク(一国集中)・ハイリターン(過去実績)期待。
- オルカン: 全世界分散投資。ミドルリスク・ミドルリターン(究極の分散)期待。
どちらもNISAの「つみたて投資枠」で選べる王道の商品です。 大切なのは、どちらが優れているかと悩み続けることよりも、ご自身の「考え方」に合う方を選び、「長期・積立・分散」の投資を「早く始める」ことです。

